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枚方簡易裁判所 昭和57年(ろ)41号 決定 1982年5月07日

被告人 M・R(昭三九・一一・二二生)

主文

本件を大阪家庭裁判所へ移送する。

理由

本件公訴事実は、

「被告人は、公安委員会の運転免許を受けないで、昭和五六年七月一四日午前一時一分ころ、大阪市北区○○町×番××号先付近道路において、普通乗用自動車を運転したものである。」というのであるが、本件に関する大阪家庭裁判所の少年法二〇条に基づく検察官送致決定の内容は、本件(以下甲事実という)と、道路交通法六八条違反の事実(以下乙事実という)を併せて検察官送致しており、これに対して検察官は甲事実のみを起訴し、乙事実を不起訴処分(検察官の釈明によれば、乙事実については嫌疑不十分として、いわゆる「呑む」処理が為されたことが明白である)とした事実が認められる。家庭裁判所の決定内容を変更する検察官のこのような処置については疑問が存する(特に、乙事実について、虞犯性の有無等を検討し、家庭裁判所へ再送致すべきか否かの判断がなされた形跡も認められない本件についてはなおさらである)のみならず、本件については、検察官が、当初、甲・乙両事実を家庭裁判所へ送致する際の処遇意見として「少年院送致相当」と付されていた事実、本件逆送決定後に、被告人が新しく刑事事件(窃盗罪)を犯して検挙されている事実等を併せ考慮すると、本件については、家庭裁判所で保護処分に付するのが相当であると認められるので、少年法五五条に基づき主文のとおり決定する。

(裁判官 古林岩夫)

〔編注〕 受移送審(大阪家 昭五七(少)三六七四四、五八九四号 昭五七・八・五保護観察決定)

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